ひとつ屋根の下、赤の他人のように暮らす母と私。
母の作る料理以外に、私たちには何の接点もない。
ある日、私は勇気を出して、母と話をすることにした。
私はビデオカメラを回し、

同性愛者である母の思いを記録する。
そして私も過去と向き合い、ある秘密を母に伝える…。 

暴力を振るう夫から身を守るために、アヌはチェンとその妹を連れて家を逃げ出した。弔い業に対する世間の冷ややかな視線、そして周囲に隠すことなく「女性が好きな女性」として奔放に振る舞うアヌへの偏見。さらに娘たちよりも恋人を優先するアヌに、チェンは次第に不信感を募らせ、母娘関係はいつしか他人同士のように冷え切ってしまう。やがて自らも一児の母となったチェンは、家族の姿を映画に撮ることでアヌの本音を聞き出し、自分の秘密を打ち明ける決心をする。

2019年にアジアで初めて同性婚が合法化された台湾。だが、1950年代の農村に生まれた母アヌがすごしてきたのは、父親を中心とした「家」の制度が支配する、保守的な社会だった。娘チェンは消えゆく台湾土着の葬送文化<牽亡歌陣>とともに、レズビアンである母の、ありのままの姿を映像に収め続ける。多くを語りたがらない母に、娘が口に出せずにいた想いをぶつけるとき、世代や価値観を越えてふたりが見つけ出した答えとは──?

  監督・撮影: ホアン・フイチェン(黃惠偵)  
  製作総指揮: ホウ・シャオシェン(侯孝賢)  
  プロデューサー: リー・ジアウェン(李嘉雯)  
  撮影指導: リン・ディンジエ(林鼎傑)  
  編集: リン・ワンユィ(林婉玉)  
  編集顧問: レイ・チェンチン(雷震卿)  
 

音楽:

リン・チャン(林強)

ポイント・シュー(許志遠)